電位依存性H+チャネルは2量体となり機能するユニークなチャネルです。我々のこれまでの研究(サイエンストピック77)から、細胞内領域にあるコイルドコイル構造が2量体化に寄与していることが分かっていました。
本研究では、2量体会合面の構造情報から、会合面の規則性を見いだし、その規則を改変することで3量体、4量体へチャネルの形を自在にデザインすることに成功しました。改造したチャネルの量体数は、細胞生化学的手法、蛋白質の質量を解析する手法、X線結晶構造解析によって確認しました。1-4量体チャネルを揃え電気生理学的機能解析を行ない、2量体の形が最も効果的にチャネル分子間にブレーキがかかり、H+透過量を制御できることを明らかにしました。このように、電位依存性H+チャネルは、その会合領域の原子構造のデザインが2量体に最適化されており、機能的にもH+透過量をコントロール出来る理想の形もち、pHホメオスタシスにおけるH+チャネルの会合特異的な生理機能を生み出していることを明らかにしました。
Fujiwara Y, Kurokawa T, Takeshita K, Nakagawa A, Larsson HP, Okamura Y. “Gating of the Designed Trimeric/Tetrameric Voltage-Gated H+ Channel.” J Physiol 2013 591 (3) 627-640 表紙に掲載されました。