我々の体は細菌を退治する際に、武器として活性酸素を作っています。この活性酸素産生を維持するのが、2量体となり機能する電位依存性H+チャネルです。しかしこれまで、「どのように2量体化するのか?」「なぜ2量体になるのか?」といったことはわかっていませんでした。
我々は、電位依存性H+チャネルが2量体に会合する領域を同定し、その原子構造を解析しました。決定された構造は2量体コイルドコイル構造を呈しており、併せて行ったタンパク質の温度特性の解析と電気生理学的機能解析から、このコイルドコイル領域の熱安定性がチャネル機能の温度特性を決めるものであることを明らかにしました。この細胞内コイルドコイル領域を介して2つのH+チャネルが互いに抑制をかけて機能している事を明らかにしました。
(2012年5月8日付Nature Communications誌、NHK朝のニュース、朝刊各紙に掲載)
図の説明
細胞内コイルドコイルが膜貫通ドメインから一連のへリックスを形成し2量体間の機能の橋渡しをしているというモデルは、イオンチャネル会合が機能修飾しているという新しい機構です。それにより、細胞内コイルドコイルを介した温度感受性を獲得しています。(Fujiwara et. al. Nat. Commun. 3: 816, 2012)