042.カンナビノイド受容体の活性化はシナプス前終末内Ca2+濃度上昇によって生じた微小シナプス後電流の発生を選択的に阻害する

小脳プルキンエ細胞シナプスでは興奮性と抑制性のシナプス前終末にカンナビノイド受容体(CB1受容体)が存在する。CB1受容体が活性化されると、いず れのシナプス前終末からも神経伝達物質の放出が減少し、シナプス前部の活動電位に依存するシナプス応答が減弱する。しかし、活動電位に依存しない微小シナ プス後電流に対する作用には相違が見られ、抑制性微小シナプス後電流の発生頻度だけが減少する。今回私たちは、CB1受容体の活性化によって1)細胞内ス トアからのCa2+放出を止めて記録された抑制性微小シナプス後電流の発生頻度は減少しないこと、2)シ ナプス前終末内のCa2+ 濃度を上げて記録された 興奮性微小シナプス後電流の発生頻度は減少することを示した。これらは、CB1受容体の活性化はシナプス前終末内Ca2+濃度上昇によって生じた微小シナ プス後電流の発生を選択的に阻害することを示唆している。(J. Neurosci., 26, 86-95, 2006)
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図の説明

シナプス前終末のカンナビノイド受容体(CB1受容体)の活性化は、シナプス前終末内のCa2+濃度上昇によって生じた微小シナプス後電流を選択的に抑制する。