019.アポトーシス誘導に関与するアニオンチャネルとその活性化シグナルの同定

アポトーシス時には、持続的な細胞縮小化(Apoptotic Volume Decrease: AVD)が伴われるが、私達はこのAVDに容積感受性外向き整流性(VSOR)アニオンチャネルの活性化が関与していることをはじめて証明した。通常 VSORアニオンチャネルは、細胞膨張が生じることにより活性化するが、アポトーシス誘導時には細胞膨張がないにもかかわらず、異常活性化することがわかった。アポトーシス誘導はミトコンドリア刺激を介するものとデスレセプター刺激を介するものに大別されるが、VSORアニオンチャネル活性化はいずれの場合にも観測された。また、ミトコンドリア仲介性アポトーシス誘導の場合のVSORアニオンチャネル活性化シグナルは活性酸素種(ROS)であり、この ROSの除去や産生阻害によりAVD及びアポトーシス死が抑制されることが明らかとなった。アポトーシス死は脳や心臓の虚血・再灌流障害や、抗癌剤による癌細胞死誘導にも関与しており、これらに対する臨床的取り組みにVSORアニオンチャネルやその活性化シグナルをターゲットにすることができる可能性も拓かれた。これらの結果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された(Shimizu, Numata & Okada 2004 PNAS 101, 6770-6773)。
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