149. 二つのタンパク質の協力で細胞の大きさを一定に保つメカニズムを解明

からだを作る最小単位である細胞は、大きさが変化しても元の大きさに戻る仕組みを備えています。細胞が自らの大きさを調節する機能を種々の病理的条件で失ってしまうと、細胞は死んでしまい、そのことが原因で病気となります。細胞の大きさを調節するメカニズムを理解することは、細胞の生死の制御を行うことにつながるため、がん細胞の治療法開発などにも結びつくと考えられています。

細胞が膨らむと、膨らみセンサーカチオンチャネル(TRPM7)タンパクと、元の細胞の大きさに戻すアニオンチャネル(VSOR)タンパクの2つのタンパク質が何らかの役割を担うことは知られていました。しかし、細胞の膨張を抑えるシステムの中でどのような関係で働いているのかは不明でした。

研究グループは、細胞を一定に保つための機能のうち、膨らみを抑える働きに着目しました。その結果、細胞が膨張した際、TRPM7がVSORを生み出すことと、VSORを細胞膜に留めて機能させることの2つの面で働いていることを発見しました。

本研究は二つのタンパク質(TRPM7とVSOR)が協調することで、膨らんだ細胞が元に戻るしくみを明らかにした世界で初めての発見です。

TRPM7 is an essential regulator for volume-sensitive outwardly rectifying anion channel.

Numata T, Sato-Numata K, Hermosura MC, Mori Y, Okada Y. Communications Biology 4(1): 599, 2021.

刺激で膨らむ細胞を縮めるTRPM7とVSORのはたらき