平成30年度 入澤彩記念女性生理学者奨励賞

9回入澤彩記念女性生理学者奨励賞(入澤彩賞)学会賞
中山寿子(東京女子医科大学医学部生理学(神経生理学分野))

Microglia permit climbing fiber pruning by promoting synaptic inhibition in the developing cerebellum

 

9回入澤彩賞選考の報告
入澤彩賞選考に関する業務をWPJ(生理学女性研究者の会)は生理学会より委託されていますが、実際の選考は選考委員(男女両性により構成)が行います。WPJとしては選考の公平性を保つため、選考過程をできるだけ公開したいと考えております。以下に、第9回入澤彩賞の選考がどのように行われたかをご報告いたします。

  1. 選考委員の選出
    応募者は6名でした。選考委員の選出において注意した点は①年齢層が偏らない②応募者のそれぞれの研究分野に比較的近い研究者③応募者と師弟関係や共著者などの関係がない研究者です。これらに注意し、研究者5名(男性4名、女性1名:WPJ会員1名、WPJ非会員4名)に選考委員を依頼しました。選考委員決定後、応募者から提出された申請書等一式を選考委員に郵送し、選考をお願いしました。
  2. 選考委員会による選考の流れ
    選考委員会では次の手順で厳正な選考が行われました。選考委員長からの報告は以下のとおりです。
    <選考委員長よりの報告>選考委員長は委員の互選により決定しました。2名の選考委員から、応募者とは過去に同じ研究室に所属しておりCOIに該当するとの告知があったため、該当があった応募者の審査からは外れました。
  3. 進め方:
    1)審査を開始する
    2)最初の段階でまず、ライフイベントのところをチェックする
    3)問題あると思われたらメール会議に上げて、審議
    4)問題なければ審査継続
    COIに該当する候補者がおり審査が5名になる場合は下記の5人バージョンで、なければ6人バージョンで採点を行う。4人になる場合は再検討する。
    5)締め切り日までに採点表を提出審査方法:
    (Ⅰ)審査項目を以下の3つに分けて採点する
    項目1)優れた研究業績、若手人材の育成
    項目2)研究以外の観点(職場・家庭環境を変える大きな出来事)
    項目3)その他(社会活動、教育、学会への貢献など)(Ⅱ)各項目の採点について
    項目1)(優劣つけがたい場合は同じ点数をつけてもよいが、最下位は10点に)
    6人バージョン:20点(満点):1位20点、2位18点、3位と4位15点、5位12点、6位10点
    5人バージョン: 20点(満点):1位20点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点項目2)5点(満点):とても大きな出来事 5点、大きな出来事 3点項目3)(優劣つけがたい場合は同じ点数をつけてもよいが、最下位は1点に)
    6人バージョン:1位5点、2位4点、3位と4位3点、5位2点、6位1点
    5人バージョン: 1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点
    *項目1)では、a) 主体性・リーダーシップ(1st author, corresponding authorなど、b)独創性、
    c ) 生理学分野における今後の発展性  を総合的に判断

    (Ⅲ)上記の総合点で順位つけして原則1位の候補者を受賞候補者とする

    (Ⅳ)上位の候補者の点数が拮抗する場合。
    ・科研費の獲得状況
    ・ライフイベントの大きさ
    ・おかれている立場(独立、半独立etc)
    これらをもとに議論をすすめて、二人に絞って投票。

以上の評点をメールにて委員長(秘書)宛に連絡、委員長(秘書)にて集計。上位2名の得点が拮抗したため、(IV)の基準をもとに議論を進め(COIの審査委員は発言を控えていただきました)、上位2名の応募者に絞って再投票(COIの審査委員は投票権なし)、集計の結果、得票数の多かった1名を受賞者に決定しました。

 

  1. 受賞者の決定

選考委員長より選考結果が報告され、WPJ運営委員会はそれを承認し、受賞者が決定されました。以上が第9回入澤彩賞決定までの経緯です。選考委員および入澤彩賞に応募してくださった方々、その他関係者の方々に心よりお礼申し上げます。

                                                                H30年度WPJ運営委員長吉村由美子