日本生理学雑誌 第69巻 3号

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表紙の説明

第83回日本生理学会大会(前橋)
演題番号: 3P2−145
演題: 「AD/HDモデル:高血圧自然発症ラット(SHR)の青斑核ニューロンにおける自発活動は減弱している」“Spontaneous activity of locus coeruleus neurons is reduced in spontaneously hypertensive rat(SHR),AD/HD model rat.”
演者: 木谷有里, 石松 秀, 赤頻 崇
所属: 久留米大・医・生理学・統合自律機能部門

演題番号: 3P2−146
演題: 「AD/HDモデルラット(SHR)の青斑核,内側前頭葉に含まれるNorepinephrineの含有量」“Norepinephrine content was increased in locus coeruleus and medial prefrontal cortex of spontaneously hypertensive rat(SHR),AD/HD model rat.”
演者: 池浦佐和子, 木谷有里, 石松 秀、 赤須 崇
所属: 久留米大・医・生理学・統合自律機能部門

注意欠陥多動性障害(AD/HD)は,小児の3−7%にみられる発達障害でありdopamine(DA)仮説やnorepinephrine(NE)仮説などが提唱されているが,その病因はまだ解明されていない.そこで我々はAD/HDモデルラットとして最もよく使われている高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて,NE神経の主座である青斑核(LC)ニューロンのNE含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて,電気生理学的特徴をwhole−cell patch clamp法にて解析し,対照ラット(WKY)と比較検討した.
図上段中央:ラット(生後4週齢)より素早く脳を取り出し,LCを含む脳スライス標本(厚さ250または400μm)を作製した.HPLCは,脳スライス標本から目的の部位を含む部分(LCでは,図上段中央の四角で因んだ部分)を切除し,超音波振動によりホモジナイズして測定した.図下段左:LCと内側前頭前野(mPFC)におけるNE含有量は,WKYよりSHRにおいて有意に多かったが,線条体(Str)では差はなかった.図下段右:Whole−cell patch clamp法による記録は,近赤外線徹分干渉斯微鏡を用いて目視下に行なった.LCニューロンの静止膜電位(平均±SE)は,WKYで −51.4±0.63 mVに対しSHRで −47.7±0.39 mVとSHRで有意に浅かった。また自発性活動電位の発射頻度(平均±SE)は,WKY(2.14±0.53Hz)に対しSHR(0.64±0.24Hz)とSHRで有意に低かった.