去る平成11年11月5日に日本生理学会の平成11年度第二回常任幹事会が学士会赤門分館で開催されました。常任幹事の一人として、この会に出席しましたので、幹事会で報告・討議され、決定された内容の一部をここにニュースとして報告いたします。
速報性と紙幅の都合上、会員の方々に関心が深いと思われる項目のみについて、簡単に報告します。詳しい議事録は後日、日本生理誌に掲載される予定です。
一般会員数の減少と特別会員の推薦について
一般会員数は、数年来減少傾向にあるが、平成11年10月現在で会員総数3,572名、うち一般会員3,288名であり、平成10年度3,389名より更に減少している。この会員数の減少は会計収入減につながり、学会としても憂慮すべき事態であり、会員数の増加に各自努力して欲しいむね報告がなされた。また、特別会員は現在31名であるが、今回新たに千葉大学名誉教授の本田良行氏、および長崎大学名誉教授の佐藤謙助氏の2名が推薦され、推薦理由が述べられたのち、異議なく承認され、総会へ諮ることとなった。
会費の値上げについて
一般会員数の減少による収入減、また支出増により会計決算では繰越金が大幅に減少し、このままでは遠からず赤字決算になる事が予測される。会計幹事から一般会員会費を現行8千円から1万円に値上げすることが提案され了承された。また、臨時会費は廃止すること、および学生会員会費は値上げせず現行5千円から3千円に値下げし、学生会員の増加を期待する案について討議されたが、更に検討のうえ次回幹事会で最終案をまとめ、生理学会総会に提案することとなった。総会で承認後、会則改正のうえ実施(平成13年度より)される予定である。
動物実験に関する委員会報告
「動物の保護と管理に関する法律(動管法)」の改正案が近く国会に提出される見通しとなった。動物実験に関する委員会でも会員研究者の動物実験の自主管理を徹底するため、「生理学領域における動物実験に関する基本的指針(昭和63年)」の改訂を検討してきたが、今回改訂案が中島委員長により報告され、承認された。それによると、本学会の学術集会および日本生理誌、JJPに発表する研究は各大学、研究機関等に設置された動物実験委員会の承認を得たものに限ることとしている。具体的な指針の内容に関しては、現在、神経科学学会でも検討中の動物実験指針との整合性、また実験成果の公表に際し、学術集会の抄録に、その実験が動物実験委員会の承認を得ることを明記することの是非に関し更に検討を加え、次回幹事会において最終案をまとめ、生理学会総会において承認後、日本生理誌に公表される予定である。
JJP編集委員会報告より
編集委員会互選により菅弘之氏(2期目)が選出された。任期は半数改選時(H15年)まで。JJPのI.F.はJCRの1998年版では1,294と前年の1,007より更に上昇した。過去1年間の原稿受け付け数103うち却下率(取り下げも含む)は27.7%ということであった。
日本生理学会奨励賞の応募について
今年度から、顕著な研究業績を有すると共に将来生理学会で活躍が期待される若手研究者を奨励する目的で、奨励賞が規定された(日生誌61(3):71)。3年以上の正会員歴を有する満37才以下の日本生理学会会員が対象となり、選考は奨励賞選考委員会で行い、応募者の中から若干名を選出することになっている。11月5日現在、まだ応募はなく各常任幹事を通じて多数の応募がなされる様、努力して欲しいむね報告がなされた。
文部省科研費補助金審査システムの変更に 対する対応について
今年度より一部(基盤研究・萠芽的研究、奨励研究(A))の科研費補助金の審査・運用が文部省から日本学術振興会に移管され、それに伴い、次の様な変更がなされた。日本生理学会が関係する分科・細目の審査委員定数は、3つの細目(第一段審査)及び2つの分科(第二段審査)で、それぞれ18名、6名と倍増されることになった。これらの変更により日本学術会議へ推薦すべき審査員候補者も増員され、第一段審査の生理・生理学一般15名、生理・環境生理8名、神経科学・神経筋肉生理学10名、第二段審査の分科・生理4名、分科・神経科学2名となった。去る8月に、まず常任幹事会で推薦人数の2倍を選出した後、更に評議員の投票により上位の半数を候補者として選出し、日本生理学会から日本学術会議に推薦されたことが研究費委員会から報告された。
日本生理学会大会の準備状況について
第77回大会は平成12年(2000年)3月27、28、29日の3日間、慶応大学日吉キャンパスにおいて開催される。一般演題(口演とポスター発表)の他、シンポジウム(15題)、ランチョンセミナー、生理学若手の会シンポジウム等が予定され、準備は順調に進んでいるとの報告がなされた。
第79回(平成14年)大会の開催地
次期(平成13年)大会の当番校はすでに京都大学に決定済みであるが、その次(平成14年)の大会の開催として広島大学が名乗りをあげていることが報告された。