051.ベンゾジアゼピンのミダゾラムによる大脳皮質第V層のGABA作動性シナプスにおけるα7ニコチン受容体の誘導

ラットの脳スライス標本の大脳皮質体性感覚野第V層の錐体細胞にベンゾジアゼピン(BZP)系薬物のミダゾラムを灌流投与したところmIPSCの頻 度が増加した。しかし、他のBZP系薬物では増加せず、BZP拮抗薬の投与によっても抑制されずGABAA受容体以外を介した作用であることが示唆され た。ミダゾラムによるmIPSC頻度増加作用はα7 ニコチン性アセチルコリン受容体(nACh)阻害剤により抑えられたが、ニコチン単独では増加しなかったことから、ミダゾラムによりα7 nACh受容体が細胞膜へ誘導され、GABAの放出頻度が増加したのではないかと考え、機械的急性単離した錐体細胞に、α7 nACh受容体に特異的に結合するAlexa488 αブンガロトキシンを用いて調べたところ、ミダゾラムにより細胞表面のα7 nACh受容体が増加するのが観察された。さらにFM1-43で共染色したところ、その多くがシナプス終末に存在することが推測された。この作用はPKC 阻害薬によって抑制されることから、PKCが関与していることが示唆された。また、Glutamate作動性神経や他の層のGABA作動性神経では認めら れず、シナプス後nACh受容体にも作用しなかったことから、大脳皮質第V層のGABA作動性神経のシナプス終末に特異的に見られる現象であることが明ら かになった。Cereb Cortex. 2007 Mar;17(3):653-60.
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図説

ミダゾラムはシナプス後GABA受容体に作用するほか、大脳皮質第V層の錐体細胞に入力するGABA作動性シナプスに作用し、シナプス前にあるニコチン性アセチルコリン受容体を誘導することによりGABAの遊離を増加させる。