日本生理学会会員の皆様；
昨年度実施したアンケートの結果等を踏まえて打ち出しました 「今期の活動の基本方針（日生誌2025年5月号に掲載）」 に記した 「PSJオンラインセミナー」 に関して、理事長副理事長会議で具体化に向けての議論を行いました。その結果、下記のように実施したいと思います。優れた生理学研究、機能生命科学研究の成果を共有し学術レベルの向上に資する機会としたいと考えています。
[1] 概要
(1) 2カ月に一回程度、Zoomを用いてオンライン開催する。
(2) 聴講は、生理学会会員限定とする。
(3) 事前の参加登録不要として、当日のZoom接続の先着100名とする。
(4) 最近の優れた研究成果（日生誌サイエンストピックスも参考に）の中から講演者を選定する。
(5) 加えて、講演候補者の自薦、他薦を受け付ける。（採否は執行部にお任せいただく。）
(6) 講演は、発表30- 40分程度、質疑応答10- 15分程度とする。
(7) 講演の言語は、英語を推奨するが、講演者にお任せする。スライドは英語でご用意いただく。
会員へのベネフィットという見地からは会員限定が妥当と考えますが、新規会員の獲得に向けてという見地からは非会員に開く選択肢もあると思います。また、100名限定で収まるか？という懸念もあると思います。これらの問題点を認識しつつも、まずは、あまり過大な経費とエフォートをかけずに、この形で走り出し、ブラッシュアップしていきたいと思います。
講演の言語については、(1) 大会と同じく、国際化を意識し、（英文原著論文の発表をゴールとしている分野では）「英語」とするという選択と、(2) 地方会等と同じく、敷居を低くし広くとっつきやすいものにするために「日本語」とするという選択が考えられます。本企画については、中間的なものと位置づけ、「講演の言語は、英語を推奨するが、講演者にお任せする。」 としたいと思います。
[2] 具体的な点
(1) 会員向けに、メール、ホームページで、日時、講演者、講演タイトルを案内し、参加を呼びかける。
(2) Zoom ID, passcodeは、毎回異なるものを、生理学会HPのマイページ（会員専用）サイトに掲示する。講演内容のレコードや2次利用の禁止等の留意事項を記載し、接続することはこれに同意したものとさせていただく旨を記す。
(3) Zoom参加者には、「名前」に、会員番号と氏名を表示していただく。
(4) 講演は、発表30-40分程度、質疑10-15分程度とする。関連する2題の講演を企画する場合もある。
(5) 講演の言語は、講演者にお任せする。スライドは英語でご用意いただく。
[3-1] 第1回 PSJオンラインセミナーのご案内
日時： 9月29日（月）、PM 16:30-
講演者： 樽野 陽幸 先生（京都府立医科大学 教授）
講演タイトル： 咳と嚥下のスイッチ 喉に新たな感覚器官を発見〜咳治療に道筋、喉ごし感覚の一端か？〜
言語： 「英語」
Zoom ID 等： マイページ（会員専用）サイトに掲載、事前登録不要、当日の先着100名まで。
講演要旨：
咳が 8 週間以上続く慢性咳嗽（がいそう）や嚥下障害には原因不明または難治症例が多く治療法が限られています。こうした現状から咳や嚥下の生理学的機序の理解不足が指摘されてきました。最近、私たちはマウスを用いた実験で、喉の上皮に希少に存在する感覚細胞群を発見し、これらの細胞が侵害化学物質に応答し、喉頭では咳、咽頭では嚥下を引き起こすこと、およびその細胞内分子メカニズムを解明しました。咳や嚥下を司る新規感覚器官の発見であり、苦味を呈する毒素を含む植物抽出物、タバコの煙、空気汚染物質、病原体関連物質など多様な侵害化学物質に対して生じるこれらの気道防御反射の機序が明らかとなりました。これら感覚器官がアレルギー性咳過敏症にも関与していることが分かり、慢性咳嗽創薬に道筋を示すことが期待されます。一般に喉ごしと表現され、ビールを飲む際などに喉で知覚される感覚には苦味が重要ですが、その機序は分かっていません。苦味物質が嚥下を促進する機序を解明した本研究は、ビールの苦味がもつ喉ごし感覚の一端を説明するかもしれません。
参考論文：
Soma S, Hayatsu N, Nomura K, Sherwood MW, Murakami T, Sugiyama Y, Suematsu N, Aoki T, Yamada Y, Asayama M, Kaneko M, Ohbayashi K, Arizono M, Ohtsuka M, Hamada S, Matsumoto I, Iwasaki Y, Ohno N, Okazaki Y, Taruno A (2025) Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes. Cell 188(10): 2687-2704. doi: 10.1016/j.cell.2025.03.007.
近くなりましたら、会員向けメールでご案内を再送します。多数のご参加をお待ちしております。
[3-2] Announcement of The 1st PSJ Online Seminar
Date： September 29（Mon）, PM 16:30 –
Lecturer： Professor Akiyuki Taruno（Kyoto Prefectural University of Medicine）
Presentation title： Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes
Language： [ English ]
Zoom ID etc ： Will be uploaded to the My page (only for members) of PSJ HP,
No pre-registration needed, first 100 participants only
Presentation abstract：
Neural reflexes to chemicals in the throat protect the airway from aspiration and infection. Mechanistic understanding of these reflexes remains premature, exemplified by chronic cough—a sensitized cough reflex—being a prevalent unmet clinical need. Here in mice, a whole-body search for channel-synapses—featuring CALHM1/3 channel-mediated neurotransmitter release—and single-cell transcriptomics uncovered subclasses of the Pou2f3+ chemosensory cell family in the throat communicating with vagal neurons via this synapse. They express GPCRs for noxious chemicals, T2Rs, which, upon stimulation, trigger swallow and cough-like expulsive reflexes in the hypopharynx and larynx, respectively. These reflexes were abolished by Calhm3 and Pou2f3 knockout and could be triggered by targeted optogenetic stimulation. Furthermore, aeroallergen exposure augmented CALHM3-dependent expulsive reflex. This study identifies Pou2f3+ epithelial cells with channel synapses as chemosensory end organs of airway protective reflexes and sites of their hyperresponsiveness, advancing mechanistic understanding of airway defense programs with distinct therapeutic potential.
Reference：
Soma S, Hayatsu N, Nomura K, Sherwood MW, Murakami T, Sugiyama Y, Suematsu N, Aoki T, Yamada Y, Asayama M, Kaneko M, Ohbayashi K, Arizono M, Ohtsuka M, Hamada S, Matsumoto I, Iwasaki Y, Ohno N, Okazaki Y, Taruno A (2025) Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes. Cell 188(10): 2687-2704. doi: 10.1016/j.cell.2025.03.007.
Announcement will be re-sent to PSJ members by an email when the date approaches. Please join us!
久保 義弘
日本生理学会 理事長
