日本生理学雑誌 第87巻3号

CONTENTS

表紙の説明

〈表紙の図〉
大会名:第130回日本解剖学会・第102回日本生理学会・第98回日本薬理学会·合同大会
(APPW2025)
演題番号:2P-433
演題名:生体内カルシウムイメージングで見えてきた肝細胞カルシウムシグナルの自律神経制御
演題名(英語):In vivo calcium imaging revealed autonomous nerve-mediated regulation of intracellular calcium signals in mouse liver hepatocytes
演者:谷田部一輝1,平岡優一2,3,茂木優貴1,三木敏生1,飯野正光1,金丸和典1
所属:1.日本大学医学部·生理学分野,2.東京大学大学院·医学系研究科付属疾患生命工学センター·動物資源学部門,3.東京科学大学·難治疾患研究所·分子神経科学分野/未来ゲノム研究開発支援室

説明(キャプション):
肝細胞内Ca2+シグナルは代謝などの重要な生体機能制御に関わるが,その知見の多くが生体外すなわちex·vivo実験の結果に基づいているためin·vivoでの検証が必要である.そのために我々はCa2+センサータンパク質yellow·cameleon-Nano50(YC-Nano50)を肝細胞特異的に導入したトランスジェニックマウスを作出し,in·vivo·Ca2+イメージング手法を確立した.これまでの解析では,麻酔・開腹条件下の同マウスにおいて,空間同期性の比較的高い自発的な肝細胞Ca2+オシレーションが観察されている.肝細胞Ca2+オシレーションは交感神経トランスミッターおよびIP3に強く依存することを見出している.
A:Ca2+センサータンパク質YC-Nano50の模式図.Ca2+依存的なカルモジュリン(CaM)とM13の相互作用に伴うCFPとVenusの近接により,CFP-Venus間の蛍光エネルギー共鳴移動(Förster·Resonance·Energy·Transfer:FRET)の効率が飛躍的に上昇することを利用したratiometric·Ca2+センサーである.
B:麻酔・開腹マウスの肝臓を蛍光実体顕微鏡システムでイメージングした.肝臓における強いVenus蛍光によりYC-Nano50が強発現が確認された.低倍率では肝葉(Lobe),やや高倍率では肝小葉(Lobule)構造が鮮明に観察可能であった.
C:広視野観察における肝葉間のCa2+動態比較.ほとんどの個体において肝葉間で同期したCa2+動態が観察された.
D:肝小葉間のCa2+動態比較.この例は肝小葉同士の同期性が比較的高かった.

利益相反の有無:なし